モウドクウサギ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

4.3
異論はあるかもしれないが、コレ、意外と面白かった。「ホースソルジャー」評が奮っていないようだし、なぜか夢に出てきたので、ふらっと観に行った。アイススケートに興味は皆無だし、トーニャなんて選手知らないが、ライバルへの暴行事件を企て、追放されボクサーになったという粗筋から「フォックスキャッチャー」っぽいのかなぁとか、仮にそうでなくても、芸術家&アスリートってことで「ブラックスワン」でもいいやと思い込み劇場へ。いきなり当人らのインタビューからはじまり、一連の流れを再現VTR的に作っている感じで、ハズレだと落胆していたが、なんと、出てくる人物が皆バカで、”まだ事実!”でお馴染みの「ペインアンドゲイン」に近い雰囲気が濃厚に立ち込めてきた辺りから一気に面白くなった。むしろ、逆に当時の事件を知らない方が楽しめるかもしれない。トーニャもかわいそうなものだ。「セッション」の鬼教官以上の猛毒親(←助演女優賞)に虐待・暴力を受けつつスケートをはじめ、結婚した男も、クソをクソで煮詰めてクソをまぶしたようなDVのロクデナシだったので、さぁ大変!その夫の友人も、やっぱりバカクズデブ童貞という、事実とは思えない状況に発展していく。バカのせいで人生をめちゃくちゃにされ、唯一の拠りどころだったスケートを失っても立ち上がる、紛れもなく強靭なトーニャの物語だ。