YUKi

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのYUKiのレビュー・感想・評価

3.8
全く信じられないほどの
主要人物のキャラの濃さ。
不器用さも悪どさもバキバキに
キャラ立ちした人たちの渦中で、
よく天才アスリートになれたよ‥。
しかもまさかの実話ベース。

信じられます?
このフィギュアスケート選手・
トーニャ・ハーディングの半生。

はっきり言って悲劇のヒロインに
仕立て上げられてもおかしくないくらい
彼女の背負っているものと
環境が重すぎる。

ホライトトラッシュと呼ばれる
白人の貧困層で生まれ育ち、
粗暴な母親に才能を見出され
何度壁にぶちあたっても這い上がる
トーニャ。悲劇として演出されず
メンタルは激情的でとにかく強い。

あのがさつな魅力を演じ切った
マーゴット・ロビーの女優根性に
かなり惚れ込む。

コミカルな描写ではありつつ
夫からのDVシーンも頻発。
何度も別れてはよりを戻すのは
あのバイオレンス全開の母親との
生活あってこそでしょうか。

その夫のアホな友人によって、
彼女のライバルである
ナンシー・ケリガン選手襲撃事件に
巻き込まれ、フィギュアスケート界から
転落するのですが、思い返してみると
トーニャはきらびやかなスケート界で
雑草から大輪の花になったというだけ。

審査員に気に入られるような
高貴で上品な演出を敢えて選ばす
大会に挑み続け、成功した
トリプルアクセルのシーン。

あれは彼女の幸せの絶頂期だったのに
ラストで、あのシーンとリンクさせるなんて
トーニャの持つ魅力は
眩しい光でも泥沼の闇もあるという
象徴のようだった。

強い女。重複しますが、
悲劇ではなく凄まじく逞しい女として
描かれているところだけが救い。
実在のトーニャとは
どこまでリンクするんだろう。
YUKi

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