おじぇに

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのおじぇにのレビュー・感想・評価

3.5
時代の狭間に消えて行く運命だった、キワモノ的事件に再度スポットを当ててみようとした目の付け所が良い。
今の感覚でゴシップメロドラマにするのかな?面白そう…という読みは外れていた。

そもそも、トゥシューズに画鋲的な事件なのかと思い込んでたら全然違ってた。どちらかというと腐ったミカン的な話でした。

私は同じ中学だったヤンキーの子たちのことを思い出してしまった。
まず、トーニャの根元の黒い金髪だけで察しのつく育ちの悪さね…それ!て思った。ロングヘアをセルフブリーチしてた母子家庭のヤンキーの子、正にあんなだったです。親はスナック勤務。寂しさゆえなのか自己顕示欲が凄くて、お洒落かはおいといて、まず注目を浴びそうな、派手で奇抜な服を着ていた。それも手作りの衣装に重なったし、暴力というコミュニケーションも腑に落ちる。

トーニャのコートの毛皮はお父さんが狩った兎だし…コーチ代惜しいからトイレに行くなとか言われちゃうし…そりゃ優雅にスケート習ってる他の子供と隔世の感あるに決まってる。
私なら宗教にすがりそうな状況なのに、トーニャさんはひたすらスケートに打ち込むから偉い。でも報われない。

スケートできなくなるなら、懲役くらったほうがマシだから逮捕してという下りは辛すぎ…

エンドロールで実際に本人たちにインタビューしたVTR差し込まれてるんだけど、映画のセリフまんまの事言ってて、ああ、本当にトーニャの周りにクズの人が集まっていたんだなあ…とめちゃ感慨深かった。

強い人には無条件に憧れてしまうので、ただ魅了される部分もあり、怒りをガソリンにして生きるのはマジしんどそうだし、私は長いものに巻かれる凡人です。と納得して心を落ち着けた。
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