ボンクラユースケ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのボンクラユースケのレビュー・感想・評価

5.0
再度鑑賞。 やはり2018年のベストムービーの1つ。
嘘の中に紛れる真実のように、この映画には痛烈なニヒリズムの中に強烈なエモーションが存在している。
元々、個々の中にしか存在し得ない(正しくなさも含む)真実を、自分勝手に他人へあてがうことへの至極真っ当な怒りが作品の根底にあり、真実を勝手にあてがわれた挙句、社会からひとつの物語として消費され、忘れ去られていく「トーニャ・ハーディング」という人間を通して、全てのエンターテイメントにおける暗くて深い、搾取の構図を暴き出している。
ここまで書くと凄いニヒルな映画な感じがするが、この映画が真にエモーショナルなのは、最後の最後でトーニャが放つ台詞だ。
どんなに社会から搾取されようと、どんなに周りから嘲笑われようと、どんなに人からぶん殴られようと、成功も没落も、すべては「私は、私。」なのである。