ハリィしろかわ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのハリィしろかわのレビュー・感想・評価

4.5
【「アイ・トーニャ」期待以上の面白さに満足 です!】

やっと観ることができた本作。
期待以上の面白さに満足です!
マーゴット・ロビー、よくやったね!

とにかく登場人物のほとんどがクズで愛情不足で生き方が不器用すぎる。おまけに、やたらにf**k発言を連発する下品さ。
しかし、親子の愛情不足による悪影響、短絡的な生き方が引き起こす悲惨さなど、考えさせられることが実に多く、作中飽きることなく、一気に観ることができた。

毒母からの過激な仕打ちと暴力を受けながら、フィギュアスケートしか知らない過激な女に成り上がった主人公トーニャ。
恋人からのDVにも耐えながらも、ときに暴力でやり返す。しかし、愛情に飢えているため、寂しさ倍増になると、DV彼氏と知りながらも何度もヨリを戻す。バカップルの悪循環な生き方、見ているこちらがツラくなる。(特にアイスバーの件)

スケートの実力はあるものの、品のなさから審査員からはまともに評価されず、常に不満だらけ。猛特訓の結果、トリプルアクセルを達成しても、なぜか彼女の心は満たされない。
やがて、彼女達のその場しのぎの行動が積み重なり、世界中を震撼させた「あの事件」発生につながる。
そして、マスコミの餌食となり、世界一の嫌われ者になり、全てを失うトーニャ。
自業自得とはいえ、彼女の不器用すぎる生き様は見ていて胸が痛む。

特に印象的だったのは、中盤、トーニャと毒母が過去の因縁を清算し、ようやくお互いを分かり合えるかな、といったシーン。
しかし、あの結末にはトーニャも私も愕然。あれじゃ、誰も信用できなくなるよ。

しかし、トーニャは他人からの同情も「クソくらえ」な態度を貫く。自分の人生は自分にしか分からないんだから。
このメンタルタフネスな点だけは共感できる。それ以外は反面教師。

陰惨な内容なのに、テンポよくストーリーが進むのは、当時のヒット曲を途切れなく流すサントラの効果が大きい。
私も鑑賞後、タワレコでサントラ盤CD買ってしまった。(今、そのサントラ盤聞きながら本文書いてます)

あと、マーゴット・ロビーの役作り&スケートシーンは見事。当時のトーニャ・ハーディングの競技シーンを見事に再現。劇場で見る価値あり!
ハリィしろかわ

ハリィしろかわ