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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのlptsのレビュー・感想・評価

4.0
「クズの博覧会」

 フィギュアスケートという華やかな競技とは対極にある映画だった。とにかく出てくる奴全員クズ。この実生活では絶対に関わりたくない人間たちを、外野から観察するのは、本当に面白い。人間の本能の中にある、他人を見下すことによって沸き立つ高揚感。この感情が作用するのは「スリービルボード」を観たときとよく似ている。スリービルボードはフィクションだが、本作はノンフィクションというのだから怖ろしい。そして、クズだクズだと馬鹿にしながら、このクズたちの異常な自己肯定感の高さに少し羨ましさを感じてしまうのも、よく似ていた。やることなすこと全部自分が悪いのに、自分は正しいと言ってのける図々しさ。周りに一切忖度しない生き様はある意味清々しい。悲しいことに、このタイプの人間はクズも多いが成功者も多い。このモンスター達に散々振り回される人間がいることや、このクズ達が繰り広げる博覧会を、メディアが盛り上げ、大衆が嘲笑うが如く楽しむことは、いつの時代も変わらない。いま日本でも連日「クズの博覧会」が催されている。不謹慎かもしれないが、大衆というモンスターたちに喰い散らかされるエサが、連日メディアに放り込まれる有様は、見ていてとても心地がよい。こんなことを平気で考えてしまう、大衆である自分達が一番クズなのかもしれない。