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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのcoroのレビュー・感想・評価

3.7
1992年のナンシー・ケリガン襲撃事件に関与していたとされ、それを境に転落していくフィギアスケーター、トーニャ・ハーディングの半生を描いた作品。

エンディングで分かるように、限りなく本物に近いインタビューや当時の映像を交えながら物語は進められていく。
しかし、彼女も含め彼女のたどってきた道に通じる人たちが余りにも不誠実で、真相を探る旅を半分諦めてしまっているところが面白い(笑)
半分は誠実に、残りの半分は揶揄するような明るい眼差しで、この鬱屈した世界に光を灯す描き方に構成の妙を感じる。

人間性の欠落した母親に育てられ、そこから逃避した先でもまた受ける夫からの暴力。そして貧困。
彼女のとった行為は決して共感出来るものではないけれど、そんな環境下において2度もオリンピックの地に舞い降りた彼女の強靭な精神力と努力は賞賛に値すると思う。

作品を通して唯一まともといえる、彼女を指導するふたりの(普通の人々)コーチが、淑やかで美しく見える(笑)
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