その時切れたのは、
靴ヒモか、それとも心か？
人は自分にはたいして期待もしないのに、
他人には過剰に期待する。
人は自分のミスは簡単に見ようとしない
のに、他人のミスは容赦なく責める。
人は、最終的に自分が決めているのに、
ほとんどのことを、他人のせいにする。
（最終的に自分で決めたんだから、
しょうがないかぁ）とは、ならない。
劇場で観たかった作品をやっと観た。
面白かった。ドキュメンタリー番組を
観ているかのような作風。
テンポよく話は進んでゆく。
主人公のトーニャ・ハーディング以外、
ほとんど（病気レベル）のキャラクターが
出てくるので、寒気すらする。
病的に人の話を聞かない母親。
病的にDV、ストーカー体質の彼氏。
病的にというか、明らかに病気な
もう一人の登場人物。
貧困、劣悪な家庭環境、非常識、
非礼、無知、無教養、そして孤独。
この映画のフィルターだけ通して
観れば、よくこんな環境で
オリンピックに行ったな、と感嘆する。
逆に言うと、よくこんな物騒な奴らが、
オリンピックに出入りすることが
出来るのだな、とやっぱり感嘆する。
マーゴット・ロビー、良かった。
全身全霊でトーニャ・ハーディングとして
（生きていた。）印象深いシーンが
多かったが、特に駐車場のシーンと
裁判所のシーンが、良かった。
マーゴットの演技に心が震えた。
数々のドラマや映画で存在感を発揮して
きたアリソン・ジャネイの、オスカー
受賞の演技や役作りに、目を見張る。
すごい芝居、すごいキャラクター。
強烈さでは（セッション）のJ.K.シモンズ
に匹敵する。
スケートシーンの臨場感やスピード感も
素晴らしかった。
本当によく出来ている傑作だと思う。
