トーニャというスケート選手がいたこと、ナンシー襲撃事件があったことはこの映画が公開されるまでは知らなかった。襲撃というからには物騒なことを想像してしまうがその経緯はあまりにもマヌケすぎる。バカしかでてこない、まさにその通りです。特に夫の友達のショーンさんの話が通じないバカっぷりに笑いを通り越して呆れてしまいました。でもそうすることでしか自分を保てない哀しさというのも感じられるドラマの厚みを持っている。
第四の壁を破ってこちらに語りかけてくる構成やインタビュー映像から過去を振り返ったりテレビの映像を使ったりと様々な技法を使って何が真実かを語りかけてくる。
トーニャの母親がスケートリンクでタバコを吸っている姿からこの人と関わっちゃいけない感じが完璧。アリソン・ジャネイがホワイトトラッシュを全身で体現。マーゴット・ロビーが製作も兼ねているだけあって気合い十分。トーニャが試合前に鏡の前でなんとか笑顔を作ろうとする場面に彼女の本気を見ましたね。最後リングに立つ姿にそれでも生きていかなくてはと思わせる力強さがある。