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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのJのレビュー・感想・評価

4.4
・物語★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★★
・音楽★★★★

公開中の『ワンス・アポン〜』で実在の人物シャロン・テートを演じたM.ロビーが本作で演じるのは、これまた実在のフィギュアスケート選手トーニャ・ハーディング⛸

女性アスリート同士の闘いに嫉妬と狂気が絡み、遂には破滅に走る『ブラック・スワン』のノンフィクション版のような展開を予想していましたが、いい意味で裏切られました。


“彼女は世界中から愛され、
一瞬にして世界中から憎まれた”

幼い頃から愛情と教育を十分に与えられず、唯一与えられたスケートの才能のみを頼りに泥臭く生きてきた彼女が、自分の意図しないうちに破滅に墜ちていく。

手に入れたかのように見えた“愛”が、かりそめで歪んだものであったが故に、代償として失ったものの大きさ…

不器用だけど、ある意味“まっすぐに懸命に”もがいて生きてきた彼女が、どうしても憎みきれず、切なくも哀れに感じられました。


実在の人物をモデルにした伝記モノにありがちな、堅苦しい人間ドラマの枠に収まっていません。

関係者のインタビュー形式という演出に軽快な音楽を交え小気味よく展開するストーリー。
物語の内容とは裏腹に、ポップかつカジュアルな作風に仕上がっています。

それが逆に、トーニャだけに限らず、およそ人生というものに対する皮肉のようにも感じられて、やり切れない後味を残します…。


M.ロビーによる圧巻のスケートシーンは見事の一言に尽きますが、『アベンジャーズ』シリーズのウィンター・ソルジャー役で知られるS.スタンや『ギフテッド』の子役M.グレイスちゃんなど、キャスティングも豪華です。
中でも、毒母を怪演したA.ジャネイは、アカデミー賞助演女優賞受賞も納得の素晴らしい存在感でした。
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