NORIDAR

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのNORIDARのレビュー・感想・評価

4.1
"これが私の真実よ"

おいおい、なんてかっけーんだこの映画。キャラクターやストーリーと言うよりも映画そのものがカッコいい。

それぞれの主観でしか語ることのできない過去の出来事をキャラクターに上手く語らせる演出はノンフィクション映画そのものでもあるという、本当に上手過ぎる作り。

これだけでもかなり好きな作りだが今作なんと言っても胸打たれるのがアンチ富裕層映画である事。
金にものを言わせなければ成り上がれないフィギュアスケート界にハングリー精神で挑み続ける主人公トーニャ。彼女を動かす原動力が選手たちの全てである順位ではなく、自身の知名度というストレートな欲求。
我が足という唯一の武器でのし上がろうとする彼女がトリプルアクセルを決め始めて脚光を浴びる瞬間の高揚感は堪らない。

そして何と言ってもアリソンジャネイ演じるラヴォナママ。
演目を終えたトーニャの表情を見届けた時に唯一母としての顔を見せるあの表情が忘れられない。そしてその一点以外はゴミキャラという、蜘蛛の糸のカンダタのような愛すべきキャラクター。
その他の主要キャラも本当にどうしようもない、愛すべき駄目人間ばかり。

トラック使いもポップ・ミュージックの嵐はやっぱり上がらずにはいられない。特にスージー&ザバンシーズは逞しい女性映画には欠かせないトラックに。

曲としては一切使われてないが今作、間違いなくヒップホップ精神の映画!
好き過ぎる!!
NORIDAR

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