うえの

アリーキャットのうえののレビュー・感想・評価

アリーキャット(2016年製作の映画)
3.6
かつてプロボクサーとして名を馳せていたマルと自動車整備工として働くリリィ。
一匹の猫と一人の女性を巡り巻き起こる、クライムサスペンスなロードムービー。

かたやデビュー後まもなく金田一少年やIWGPなどのテレビドラマにて大活躍し、2000年台前半の日本映画界にてカリスマ的存在感を放った窪塚洋介。
かたやラウドにヒップホップにミクスチャーと様々な音楽性を遍歴し、当時のロックバンドにしては珍しいDJが加入したり、現行のロックバンドでは全くいないダンサーが加入したりと気付けば現行のロック界における兄貴のような存在となったDragon Ashのvocalであるkj。
この主演2人のジャンルの垣根を超えた共演にて話題を呼んだ今作。
まさかkjが演技すると思わなかったが考えてみれば俳優の血筋だし、以前何かのドラマだか映画だかに出演した経験もあるみたいだし、全くありえない話ではなかったらしいがそれなりに演技派やベテランが集まる今作において新人俳優扱いされていた話を聞いて笑った笑。

シングルマザーの冴子こと市川由衣(エロい)とその息子をストーキングする玉木(どうした品川)から守るためにボディガードの仕事を依頼されたマルとリリィを描くのが本筋。
もうとにかく市川由衣がエロい。
清純派で売れていたテレビドラマ時代とは打って変わった体を張った演技がエロい。
ありがたやありがたや笑。

冴子が東京に味方があると言い、舞台を東京へと移した後半に登場する三浦誠己演じる自称経営コンサルタントの柿沢がものすごく悪くて怖い。
こんなにへりくだってるのに全く相手に尊敬の念を感じさせない素振りできんのかってくらい気持ちが1mmもこもってないビジネススタイルで接してきたかと思えば、1mmも他人を思いやる気持ちのないひどく冷徹な目で冴子らを見る視線がめっちゃ怖い。バケモンだこの人笑。
ファミレスという公衆の面前で冴子に自分の指をしゃぶらせるど変態プレイまで披露して、観客としてはもうけしからんと言わんばかりに観てしまいましたね(真顔)

あと意外に感じたのが今までの流れだとリリィのような自由な人間を窪塚が演じてそうなんだけど少し影のあるマルのハマり方にまったく違和感なくて、しかももっと言えば相棒のkjの方がよりリリィの役にハマっていたこと笑。
この配役が絶妙に良かった。窪塚洋介は俳優としての新しい顔を覗かせていたし、kjも普段のオラついた感じを抑えたアホっぽい能天気なムードメーカーみたいな役回りを楽しそうに演じていた笑。

この作品が公開するにあたり、過去の窪塚洋介主演3作品とまさかの本人ご登壇のオールナイト上映がテアトル新宿にて開催され、窪塚洋介を生で観る機会に恵まれた笑。
切りっぱなしの半デニムに緑色のボーダーシャツといった深夜にコンビニに出かけたヤンキー崩れみたいな格好をしていて笑、それほど高身長(それでも177cm笑)であるわけではないのに、めちゃくちゃにスタイルが良くて、めちゃくちゃにカッコよくて、撮影OKの許可が下りた途端に50枚くらいの写真を連写した笑。
そこからたっぷり1時間以上トークセッションを披露し、俳優としての演じることへの考え方やTVドラマ出演への決別、レゲエミュージシャンとしての生き方、さらにはマンション落下すらネタにする器の大きさにもはや感動した笑。
日本映画界における現時点での30代最高峰の俳優の1人だと思います。

最後が少しあっさりとしてしまった感じがして少し残念な作品ではあるが近年のバディ物としては探偵はBARにいると並んだ好きな部類。
可能性は少ないかもしれないが続編も期待したい。
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