クマヒロ

ピーターラビットのクマヒロのレビュー・感想・評価

ピーターラビット(2018年製作の映画)
3.3
『縦横無尽CGピーターラビット』

人間対ウサギの『ホームアローン』的戦い。原作を拡大解釈し、違った世界観をみせてくれる本作『ピーターラビット』

動物のCGアニメーション以外はCGを一切使っていない本作は、ピーターラビットをはじめとした動物のCGアニメーションが現実に溶け込むほどリアル。
そんな動物達の人間的な表情は気持ち悪く感じそうなところ、憎めない愛らしさを感じさせる。原作『ピーターラビット』のその後の世界をこの愛おしい映画版『ピーターラビット』が再現してくれる。

そんな本作の白眉は数々のアクションシーンの見応え。トーマス・マクレガー(ドナルド・グリーソン)対ピーターラビット率いるウサギ軍の戦いが非常に精巧。

マクレガーとピーターがサンルームで大喧嘩するシーンのドナルド・グリーソンの演技はとてつもないもの。
何もないところに対してウサギと戦っている風の演技をする、このシーンは2分の尺を五日間かけて撮影したそう。
素晴らしいクオリティに仕上がっている。

他にも何もないところにダイナマイトを大量に投げ込んだり、おもむろにおもちゃ屋のおもちゃを破壊するドナルド・グリーソン。
『アバウト・タイム 愛おしい時間について』や『スター・ウォーズ』シリーズの彼のイメージとも重なり、演技の巧さはもちろんのこと、彼にしか出せない愛おしいキャラクターが完成している。

ウサギ軍の声優陣にも注目。豪華で、アフレコ風景が眼福。選曲も話題性を呼びそうなものばかりで、興行的に成功を収めそうなものである。

ただ、マクレガーとビア(ローズ・バーン)がなぜ惹かれあったのか、なぜマクレガーがおもちゃ屋さんに対して突然誠意をなくしてしまうのか、など行動に対する理由づけがぼんやりしている点が気になる。
スピード感のある話にしたいのはわかるが、あまりに雑。

他にも、『ホーム・アローン』的な作品にしては地味なギミックも気になる。自然を使ったトラップや、ウサギならではの攻撃方法等多彩なものを次回作では期待。
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