skm818

ザ・ウォールのskm818のレビュー・感想・評価

ザ・ウォール(2017年製作の映画)
3.8
狙撃されて負傷した米兵が敵のスナイパーと無線で駆け引きしながら砂の中を這いずり回って生き延びようとする話。場面は崩れかけた壁の後ろにほとんど固定されているし、映像的にはほとんどアーロン・テイラージョンソンの1人芝居に近いが、撃たれた直後のパニクりぶりだの(いやわかるけど、ちょっと落ち着けー、と言いたくなる)、意外とあれこれ身につけているけど故障しちゃって使えなかったりする装備だの、通信の背後に聞こえる何かの音だの、細かく作ってあって、スリリングで楽しめた。
あーこんな感じで銃のマガジンは胸につけているのかとか、ライフルで撃たれたらこんな風に肉がはじけちゃうのかとか、これはほんとに痛そうだとか。腹を撃たれたのにかなり時間が経っても生きている相棒もすごいですな(しかもそこからライフルを引き寄せて撃とうとする)。人間ちょっと撃たれたくらいじゃそんな簡単に死なないってほんとなんだろうな。
そして姿は見えないが無線を乗っ取ってあれこれと話しかけてくる敵の狙撃手。なんでそんな執拗に死んだ仲間のことや関係性を聞きたがるのか謎だが、要は煽ってるってことか? 罪悪感で判断力を鈍らせるって作戦? 主人公も頑張ってはいたが、所詮ポーを暗唱できる元教員のスナイパーには敵わないのだった。
崩れかけた石壁は元は学校の壁だったというし、もしかしたら元々はその学校の先生だったのかも。米国文化にそれなりに親しみポーを暗唱できるような教養のある人間がスナイパーになって米兵を殺戮する。おびき寄せてまで殺戮する。どんだけの憎しみだよと思いますね。
skm818

skm818