町田裕紀

犬ヶ島の町田裕紀のレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.1
グランドブダペストホテルの監督、巨匠ウェスアンダーソンが描く、いわゆるストップモーションピクチャー。
日本が舞台。アタリという少年が色々あって犬の墓場と化す犬ヶ島に行き、自分をかつて守ってくれてた犬を、犬ヶ島で出会った犬たちと共に探しにいく、と言う話。

とんでもない奇想天外さ。忌憚のない声に耳を傾けつつ、かと言って妥協もせず、守りにも入らず新しいことにチャレンジしてこだわり抜いて何かを作るとこういうものが出来上がります、って感じ。
内容も描き方も造形や技術とか日本が舞台とかその設定とか全てが何かの意味を持つ(持っているように感じる)。
これをコマ撮りしてるとか、とんでもない偉業。相当な変態的な強烈な思いがないとできない。
背景や人物(犬)の言動もいちいちこだわりまくってる。笑っていいのか、驚嘆していのか。

監督ご本人も言ってるが、たくさんのジャパニーズコンテンツや日本を代表するクリエイター達に想いを馳せながら、また影響されながら、外から見たらまだまだ謎な日本文化をどうにか理解しようとしながらあれこれ見聞きして作ったんだろう、という思いがとても伝わって来る。

ある程度身構えてもそれ以上に突き抜けてるので、最近の流行りのドンパチヒーロー、ゾンビ、余命いくばく云々の感動巨編、アニメ原作アクションなどに少し見飽きた感がある方にはとてもオススメ。確実に新たな分野が開ける。

その反面、変化球が不得意な方にはなかなかハードルは高いと思われる。面白くない、とかではなく、安心感がない。見るべきところ、魅せられるところはたくさんある。
丸1日かけてでもうまいかわからないラーメン屋に足を運べる人とかはとりあえず行って見て試すべき。

声優陣も日本の豪華キャスト、字幕版でも日本語バンバン出て来るし、意外と細かい設定の日本が舞台で謎の国家政治的ストーリーも乗っかり、スピード感ある話の展開なので日本人が最もこの映画を楽しめる、というか、極論、日本人にしかこの映画の本当の意味は理解できないだろうということはほぼ間違いない。

にしても、アタリと犬たち、コミュニケーションが取れてるのか取れてないのかが微妙にニュアンスで計りかねる、というのにも関わらず話が進んでいくのがすげー。