オーデュボン

犬ヶ島のオーデュボンのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.9
ペット。

舞台は近未来の日本。ウニ県メガ崎市の小林市長は、犬インフルエンザの人間への感染を阻止するため、犬たちをゴミだらけの「犬ヶ島」に送ることを決める。少年アタリは、愛犬スポッツを救うため、犬ヶ島に飛び立つ。

「ファンタスティック Mr.FOX」でも際立っていたウェスアンダーソンによるストップモーションアニメの魅力は今作では更に細部までこだわりが行き届き、日本語が聞き取れる、読み取れる日本人にとっては非常に情報量の多い映画になっている。犬の言語は英語として発されるも、日本人の登場人物は全て日本語を話す。そこにフランシスマクドーマンドの同時通訳が入るのも面白かった。相変わらずの超豪華声優陣に加え、今作では村上虹郎、野田洋次郎、夏木マリ、松田龍平、渡辺謙ら日本人も声優として多く参加し、余計頭がパンクしそうになる。やはり、スカーレットヨハンソンのハスキーな声はとてもチャーミング。また、グレタガーウィグが声をあてる留学生のキャラクターは声とともにとても印象に残った。

ウェスアンダーソン作品ならではの、コミカルなほどテンポの早い語り口や、リアルとファンタジーの境目がぼやけるような描写もやはりとても楽しい。和太鼓や寿司、一本締めなど数々の日本文化が登場するが、そのどれもが日本人目線でも特に違和感がない。制作過程を考えるだけで目が回りそうなアニメーションの完成度だったが、ストーリーに関してはやや凡庸か。それでも期待通りのウェスアンダーソンワールドが、親しんだ自国の文化を土台として広がっているのはとても感動的である。