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犬ヶ島のRのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画館で。

2018年の作品。

監督は「ファンタスティック Mr.FOX」のウェス・アンダーソン。

あらすじ

「犬インフルエンザ」が大流行したメガ崎市。人間への感染を危惧した小林市長は犬たちをゴミ島へ隔離してしまった。小林市長の養子である少年アタリは愛犬スポッツを探すためにゴミ島に旅立つ。

ご存知、極上オシャレ監督のウェス・アンダーソン監督の最新作は、「ファンタスティック Mr.FOX」以来のまさかの日本を舞台にしたストップモーション・アニメ。

俺自身も、もちろん一連の監督作はどれも大好きで(個人的ベストは「ライフ・アクアティック」!!)、「ファンタスティック〜」以来のストップモーション・アニメということで、ずっと期待を胸に心待ちにしていた。

ということで、丁度予定も合ったので、初日に鑑賞!!

結論から言えば…

う〜ん!!オッシャレー!!というか変な映画〜!!ただ、お話的には乗り切れない部分も…という感じ。

舞台は30年後の日本。ウニ県メガ崎市(なんじゃ、そのネーミング!!)ということで、観た印象としては「ファンタスティック〜」から変わらない「ウェス・アンダーソン的世界観」が作り出す外国産人形劇のソレなんだけど、その中で監督が考える「異世界としての日本」がちゃんと確立されているのは、やっぱりすごい。

ちゃんと近未来化された都市部なんだけど、その中で「神社」があったり、「国技館で相撲の取り組み」があったり、「THE 和」な装飾が成されていたりと、よく外国映画に出てくる「トンデモ日本描写」を超えた「ウェス・アンダーソンが考える日本」にもう観ているだけでクラックラッしてきそうな、ある種ドラッギーなディストピアと化した日本に、すぐに引き込まれる。

1番よく表現されているなぁと思ったのが、細かい部分かもしれないけど明かりの照り返し?特に国技館で組み合うお相撲さんを当てる光の感じがすごく日本的としてか言いようがない感覚に浸れて良かった。

ただ、これは不満点ではないんだけど、中盤で犬たちを救おうとする渡辺教授に「毒ワサビ(なんじゃそりゃ)」を仕込むために寿司を作るシーンがあるんだけど、魚の頭部と尻尾に釘を刺したり、蟹の手足を寿司に包み込んだり、所々「ん?」てなる作り方があるのが微笑ましかった。それともウェス・アンダーソンクラスの上流階級に作るような本格的な寿司だとあれが正解なのか??

また、回想シーンを初め人形劇とはまた異なるアニメーションパートでは、これも北斎的な絵のタッチが非常に日本的で、1番連想するのはフジの「ノイタミナ」枠で放送されていた「怪〜ayakashi〜」。

個人的に1番アガったのはオープニング!!オープニングロールの文字の配列も非常にスタイリッシュだが、それに加えて「ドコドコ」と鳴り響く和太鼓演奏!!あと、あれはなんて言うんか知らないが「カンカカカンッ!」と鳴る金属楽器(鈴?)、なんつーかこれから始まる奇想天外な物語にワクワクしてしまっている観客の胸の高鳴りにも似た鼓動を感じさせてくれた!!カッコイイ!!

日本が舞台で、登場人物のほとんどが日本人ではあるんだけど、反対に今作の主人公である犬たちは、見るからに外国産なのも面白い。

まぁ、犬たちが話す言語が英語なもんで、それこそ日本的な芝犬が英語を話すのも違和感あるので、ここは良しとすべきか。

一見するとちょっと古臭い人形然とした感じではあるんだけど、ちょっとくたびれた毛並みだとか、その毛が風でたなびく感じだとかはちゃんと犬!!って感じはしたなぁ。特にチーフのそれまでの戦いでついたであろう痛々しい抉れた傷がすごい野良っぽかった!!

ウェス・アンダーソン監督作ということで、それがどんな奇想天外な作品だろうとオファーを断る俳優はいないわけで、今作でもお馴染みのキャストからニューカマーまで幅広く、それでいて豪華なメンツが揃ったわけなんだけど、特徴的なのが、ここ日本からも多くの俳優が出演している点。

渡辺謙(「トランスフォーマー/最後の騎士王」)、ヨーコ・オノ(スリープレス・ナイツ・ストーリーズ 眠れぬ夜の物語」)、村上虹郎(「ナミヤ雑貨店の奇蹟」)、「RADWIMPS」の野田洋次郎(「リップヴァンリンクルの花嫁」)、夏木マリ(「生きる街」)など、ベテランから新鋭、ミュージシャンまで幅広く出ていて、しかも劇中では日本語を話しているので、誰が話しているのかな?と耳をすませるだけでも面白い(まぁ、野田洋次郎なんかはよく聞かないと絶対わかんない)。

ただ、冒頭に記述したようにお話の部分ではノレない部分も多くて、劇中アタリと犬たちの冒険がメインになるんだけど、同じく敵対する人間たちと戦う「ファンタスティック〜」に比べると間延びする部分も多くて、ちょっと「長いなー」と感じてしまったのも事実。

また、犬たちは総じて愛らしくもあるんだけど、チーフやスポッツを除くと、せっかく道中共にする他のワンちゃんたちの個性の描きこみが薄かったのは残念。近年のイルミネーションの「ペット」を初め、こういう動物ものアドベンチャーのキャラに慣れちゃってる身からすると物足りなかったかも。

ただ、終盤のアタリを介したスポッツからチーフに受け継ぐ、護衛犬への引き継ぎシーンは、アタリや2匹の犬から流れる涙が印象的で非常に感動するシーンにもなっていたので、全部が全部そういう風じゃないんだけども。

あと、個人的に前作「グランド・ブダペスト・ホテル」のエンディングがかなりお気に入りだったので(コサック踊って、どんどんテンポが速くなるヤツ!!)、今作でも期待してたんだけど、オープニング程の衝撃が無く、終わっちゃったのは残念だったなぁ。

まぁ、観た感想としては同じ監督のストップモーション・アニメなら「ファンタスティック〜」の方が面白かったというのが正直なところ。

ただ、こうやってまた1つ日本を舞台にした作品が外国で生まれたことは嬉しいわけで、それがあのウェス・アンダーソンとなれば、それはものすごく光栄なわけで、今作によって「俺たちが誇るべき日本」のムーブメントが高まればイイなぁと思ったりした。

本当にありがとう、ウェス・アンダーソン!!次作もまた期待してます。

あぁ。なんで馴染み深い「シーズー」「ダルメシアン」「フレンチ・ブルドッグ」が出てこないんだ〜!!残念!!