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犬ヶ島のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.9
【ネタバレなし】オリジナル音声&日本語字幕ver.鑑賞。

公開前から、キャラと画の雰囲気に自然と期待値を上げすぎてしまった。

ウェス・アンダーソンの語り口は、淡々とした口調で絵本のページをめくるよう。
オリジナル音声でも、積極的に日本語が使われており、本来背景として書かれている言葉まで目に飛び込んできて“読めて”しまう。
音声で流れる日本語と、字幕の日本語、背景に書き込まれた日本語と…情報量が多い!


主人公『小林アタリ』の声をアテたコーユー・ランキン君も、一応ハーフなのだが日本語レベルは不明な程、意図的なのか彼の“素”なのか判別不能なくらい、抑揚がなくやはり淡々とした口調。
彼のせいだけでなく、キャラの感情表現もかなり抑え目であまり表情がない。

別のマイナスポイントとして、人間のキャラがちょっと不気味。一様にマネキンに近い。
…というか、善も悪も関係なく、そこはかとなく悪意というか嫌悪感があるような造形。
小林アタリの目と歯とか……。
もう少し主人公顔にして欲しかったなぁ。

逆に、犬たちを演じた有名俳優の声質がまず魅力的。
『her』で保証済みのスカーレット・ヨハンソンや、『ブレイキング・バット』のブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・マーレイと、声の響きがとにかく魅力的で、存在感があり過ぎる。
こちらは犬の造形と台詞の面白さが上手く噛み合って効果的でした。

ストーリーは、意外と読みにくく、かなりクセがある感じ。

映像はホントに面白くて、好きだったゲーム『クーロンズ・ゲート(九龍風水傳)』とか、TV番組『ウゴウゴルーガ』のテイストのCGを立体化したようで、シーンよっては古屋兎丸風なアニメも挟まれたり。

音楽は、全体的に黒澤映画の一連の時代劇のノリで、一部まんま使ってたり。
ただ、ずっと太鼓のズンドコ、ズンドコで通してるので、シーンによっては感傷的なメロディとかもメインテーマとしても欲しかったなぁ…。

とにかく、ポスターや映像が少しでも気になるようでしたら一見の価値はあると思います。

『グランド・ブダペスト・ホテル』ほどでもないかと思うんですが、シーンの雰囲気よりは絵画的な意図として、緊張感のあるシンメトリーの多い構図にこだわった映像は、正直ちょっと疲れました。