海老

犬ヶ島の海老のレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.1
恥ずかしながら、ウェス・アンダーソン監督の作品は初めてです。

世界観に釘付けになりました。
最高に素晴らしかったです!

ストップモーションアニメだからこそ出せる、不気味なのに優しげな雰囲気に、廃墟の荒廃的な寂しさが加わります。ゴミの島に漂う哀愁は、極端に煌びやかなメガ崎市とのコントラストで殊更に際立っていて、どういうわけか廃墟の風合いに惹かれる人には堪らない仕上がりではないかと。

恐らく意図的であろう「平面的な演出」もまた、本作の雰囲気を形作る役割を果たしていると思えてならない。
コンテナに運ばれる犬、アタリの操縦する飛行機、パーティ一行の行軍、研究所シークエンス。あらゆる移動シーンにおいて、奥行きを封じた、左から右へ流れるカットが多用されます。立体的な演出と平面的な演出の切り替わりで、人形劇のテイストも混ぜているような。
個性的ながらも、抑揚をあえて抑えられた犬達の淡々とした語り口調と、和太鼓で奏でられるメロディの無い音楽。それらも相まって強調される「色の無い」寂しさが堪らない。


舞台が日本であるがゆえ、とんでも文化に厳しい評価も見受けるのですが、架空のメガ崎市と考えれば許容範囲かと僕は思いますし、ステレオタイプなイメージに微笑ましさも感じる。さすがに、アバンギャルド過ぎる魚の捌き方には笑ってしまったけど。いつまでタコを悪魔と思っているんだろう。

犬と愛犬家にはディストピアとしか言えない世界の中にあって、描かれているのは強烈な友情劇。非常に独特で癖のある作風ゆえに、好き嫌いも割とくっきり現れるようですね。
本作の世界観が大好物な僕としては、様々なカットから滲み出る哀愁を愉しみながらも、ドラマチックな展開に期待を膨らませ、カタルシス効果に溢れた終盤の展開には涙もしました。

ストップモーションアニメが好きなのか、監督の放つ世界観に惹かれたのか。
確かめるために過去作も鑑賞しようと思わせるには十分な内容でした。