YUKi

犬ヶ島のYUKiのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.3
ウェス・アンダーソン作品の
セオリーであるシンメトリーや
カメラワーク、映像のこだわりに
より強いこだわりを感じる、
作家性に長けた作品でした。

ストップモーションアニメで
一層クセのあるものに仕上がっているんですが、
そろそろウェス作品=おしゃれ映画という
概念を取っ払いたい。

おしゃれどころか
細部の作り込みの執念深さ、
これ完全に常軌の逸脱ですよ。
映画大好きサブカルおしゃれガール向け
とか言ってる場合ではない世界観。

わたしはこのクオリティが
胸熱すぎてそこにまず目頭が熱くなり
映画愛をひしひしと受け止めました。

しかもきちんと感情移入につながる
絆や情やメッセージ性も深い。

勇敢な子ども。がんばる子どもを
大人たちが取り巻く、というケースが
多いかと思いますが今回もそうで。

島流しにされた犬たちが生息する
犬ヶ島。そこに自分の愛犬を探しに
やってきた少年、アタリの行動を
きっかけにこの物語は始まるんですが、
このアタリの持つ情の連鎖が泣ける。

タイトル(日本の童話)から想像できる
犬と人間の対立ではないんですよね。
その描写に泣かされる訳です。

鑑賞中だんだん犬それぞれの
キャラクターやバックグラウンドが
立ってきて、“犬ヶ島”というものが
存在してしまったことが、いかに
皮肉だということも突きつけられ
結局、人間が犬たちに成長させてもらう、
そんなシーンも多々。

目をうるませる犬たちのシーン毎に
こちらも泣けてしまう。

大好きな「ブレイキング・バッド」の
ブライアン・クルンストンが
かなりのキーパーソンとして
登場時間が長いのも嬉しかったし、
鑑賞後の、どの俳優がどの犬の声かを
予想と照合するのも楽しかったです。

何より、今回は
作り込みとそのクオリティの高さ、
親日家でしかない監督の
映画への偏愛とオマージュ、
そのプロ意識にいちばん泣かされたな‥。