Quietboy

犬ヶ島のQuietboyのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.2
吹替版で見ました!
なんか字幕だと、画面の下に字幕を出す為にスクリーンサイズが小さくなる的な情報を見たんで、
ウェス・アンダーソン監督の凝りに凝った造形美をスクリーンいっぱいに楽しみたい!
って事で、普段なら絶対見ない吹替版で。


で、その造形美はすっごい堪能できました!

イヌ科の動物がとてもかわいい。
あーいうディストピア的日本はやっぱかっこいい。
廃工場とか、廃遊園地とか。
軍艦島感がたまらない。

どこを切り取ってもすごく凝ってて、
見てるのが疲れちゃうのがグランド・ブダペスト・ホテルだったんだけど、
犬ヶ島はアタリ少年とスポッツの物語として、ちゃんとそこに主題を置いててくれて造形美に気をとられ過ぎることもなかったです。



でもまあ、この犬ヶ島は日本が舞台であるので、
いや、外国人が日本を舞台に作った外国映画な訳なんで、
あえての字幕版で見た方がいいのかもしれないですね。

イヌたちの方がアタリ少年とか小林市長より日本語が上手くて、
日本人キャラの方が外国人っぽいんですよ。

予告ではアタリ少年は日本語、イヌたちは英語な訳で、
日本人から見たら母国語じゃない言語を話す動物ってだけでイヌ語らしさが出るじゃないですか。

だけどアタリ少年と同じ日本語にしちゃうことで、
アタリ少年とイヌたちが意思疎通できてんのか、
アタリ少年とスポッツのつけてたインカムの意味がよくわかんなくなってました。

多分、アタリ少年側からの指示はスポッツには伝わるんでしょうけど、
スポッツの話す英語はアタリ少年には伝わってないって事なんかなあー?

あと、吹替版と言いながらも、
市長の演説の同時通訳とか普通に英語でるところがかなり多いんですよね。

アタリ少年の発言もすぐに同時通訳で英語を被せられちゃうので、
あのたどたどしい日本語がちゃんと聞けなかったのがちょっと残念でした。

アタリ少年の声優さんは日本人とのハーフの少年のようで、
彼の声は吹替されてなかったのは良かった。
あーいう外国人が日本語をたどたどしく話してるのは、
馬鹿にしてんじゃないけど、
微笑ましいというか、
俺ら日本人とコミュニケーション取ろうと勉強してくれたんだなぁって感じでほっこりするんですよね。
たまたま、映画見る前にインドカレー屋さんに行って、そのたどたどしい日本語を聞いた後だったからなおのことそう思った。



第一にやっちまったって思ったのが、日本語の外国語感がイマイチ感じられなかったことで。
まぁ、吹替版なんだから仕方ないんだけど。
アタリ少年のたどたどしい日本語も、
日本人としては、
外国人が頑張って喋ってる日本語としてしか耳に入らないんですよ。
日本人が外国人として扱われる感がもっと欲しかった!


岩井俊二監督のスワロウテイルとか、
ソフィア・コッポラのロスト・イン・トランスレーションとか、
すっごいそれが上手くて好きなんですけど、
日本語を世界のたくさんある言語のひとつとして捉えてるっていうか、
日本語に英語字幕ついてたりするのが、なんかすげ〜いいんですよね。

あの、普段日本語しか喋ってないんだけど、それって全世界には通じないんだぜっていう現実を突きつけられる感じ。

日本人から見れば日本人以外は外国人だけど、
世界からしたら日本人だって外国人だぜっていう現実。

日本人しか会わないし、
日本語しか話さないし、
日本が全てだと思って生きてるけど、
それが全てじゃないんだぜっていう。

その、スクリーン内で世界がグーンと広がって、自分の見ている世界が、概念が、言語感覚がガラっと映画に撃ち破られてしまう感覚。

あれが大好きなんで、
それを字幕版だと味わえたんだと思うと、
やっちまったーーー!!!
ってなるんですよね。


いや、ストーリーとか、ビジュアルのひとつひとつはすごくよかったから、
なおのことです。

だって、ウェス・アンダーソン監督が日本を舞台にわざわざストップモーションアニメを作ってくれるなんてまたとない機会じゃないですか!

あの、日本語が母国語としての概念を失う系映画をやってくれるのは、
二度とないかもしれないし!



それはそれとして、
俺はこの映画は字幕なし、吹替なしのオリジナル版で見たかったです。

英語わかるわけじゃないけど、
イヌたちが何言ってんのかわからんのがそれはそれで楽しそう。
日本語に英語字幕ついてるやつで!
スクリーンサイズもそのまんまで!

そしたら完璧なんだろうけどなぁ…


でも、吹替版だと、パンク女子高生役が池田エライザさんだったのでちょっと得したかもしれない。
あのパンク女子高生って字幕版では英語なんですかね…?