吹替版で鑑賞。
ウェス・アンダーソン監督の溢れる日本愛と拘りの描写の数々と世界観は、魅力的です!
ただ、ストーリーは、それほど面白いと思えず今一歩。
評価点は、監督への日本愛への感謝を込めたありがとう加点込みです。
冒頭の和太鼓のシーンは、気分も上がる導入です。
和太鼓の音って、日本を象徴する音楽の1つでもあり、頭の中でリフレインされますね。
犬と人間との過去の歴史と現代に至る流れがナレーションで説明されます。
描写の細部が、とにかく拘りのオンパレード。
ゴミ島の描写の東京ゴミ処理場の再現度は、相当に高そう。
そして、ストップモーションとは思えないような繊細な表現。
日本語もあちこちに出てきて、外国映画とは思えないような作りこみ。
これで、ストーリーも完璧なら、言うことなしですが…。
メガ崎市では、犬にドッグ病が蔓延し、人間への感染も心配されていた。
市長の対立候補で科学者である渡辺教授は、この病気を治す血清がじきに完成すると主張するのですが。
小林市長は、犬をゴミ島へ隔離する法令を承認します。
アタリは小さい頃に事故で両親を亡くし、遠縁の小林市長に引き取られていた。
小林市長がアタリの護衛犬として付けたのが、スポッツ。
スポッツは、アタリの愛犬となり親友とも言える存在になっていました。
しかし、最初にゴミ島へ送られたのは、アタリの飼っていたスポッツ。その後、次々に島に送られる犬たち。
6ヵ月後、島は空腹の犬たちが群れていて、かつてのゴミ島はまさに“犬ヶ島”となっていた。
アタリは、スポッツを探しに小型飛行機に乗って犬ヶ島へやってきて不時着する。
そこで待っていたのは、チーフ、レックス、キング、デューク、ボスの5匹の犬。
5匹が行動を起こす時、「我々にリーダーはいない。イエスorノー?」と多数決をとります。
いつもチーフだけ反対意見なのが可笑しい。
多数決の結果、5匹の犬たちはアタリのスポッツ探しを手伝います。
スポッツを探す過程で浮かび上がる、島の犬たちの状況や市長らの陰謀。
そして、チーフの出生の秘密。
ラストは、ちょっと都合よすぎる展開ですが、本作の話の流れならありかな。
監督が、日本をテーマにした映画で犬を主軸に持ってきた意味とそのメッセージは何なのだろう?
日本そのものや日本映画へのオマージュを盛り込んでいったら、自然と犬と少年が主役の話になっていった?
ストーリーに、あと一歩、惹き付ける展開があれば良かった。