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犬ヶ島のYACCOのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.0
ウェス・アンダーソンが日本を舞台に映画を作ると聞いて見に行かないという選択肢はない。公開前から、アンダーソン監督自らコラボを熱望し実現したという大友克洋が描いた「犬ヶ島」のイラストが発表されたり、アンダーソン監督の日本愛を感じるとともに、期待は高まるばかりだった。

ストップモーションアニメによりつくられるこの独特の世界観は、アンダーソン監督の実写映画とはいささか異なる印象を受けるが、根底にある彼らしさは消えることはない。これだけでもまずはすごいことだと思う。作家でいうならば、彼は自分の文体が揺らぐことは決してない人なのだと思う。どんな手法をとっても彼にしか作れない彼の作品を生み出す。実に羨ましい(笑)

そんな彼が描く日本の姿だが、さてさて、素直に喜ぶべきなのか、笑ってしまうべきなのか。恐らく笑ってしまうべきなんだろう。やはり外から見た日本像は面白い。
あと、アンダーソン監督が日本のどんなものに惹かれたのか(黒澤映画や宮崎駿にはじまり、日本食、浮世絵、屏風図等々…あげるときりがない)も見ていてとても面白い。(その辺のディティールが細かくて、今回ばかりは字幕より吹き替えで見るべきだったかなと…字幕を追う時間が勿体なく感じた)

日本語と英語が混在しながら物語は進んでいくことと、加えて視覚聴覚両方からの情報量が多いため、果たしてすべてを見きれたのかと思ったけれど、あっという間の105分だった。しかし、もう一度吹き替えで見てみたら、また新しい発見があるのかもしれない。
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