ばる

犬ヶ島のばるのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

妖しげな神社、少年侍の昔話、からの太鼓オープニングに心を掴まれ、そのままラストまで犬達と一緒に知れない道を走ったり、散歩したりするような映画でした。

義父である小林市長によって勝手に愛犬をゴミ島に捨てられる事が発表された時、舞台袖に映ったのはシルエットのみのアタリ。その影だけで彼の戸惑い・怒り・悲しみを感じて…涙。さらにケージに入れられたままゴミの島に送り込まれたスポッツの姿にもう号泣。それからも涙涙、犬好きにはつらい展開です(ゴンドが空腹のため仲間と親友を共食いしたと慟哭するシーンのやるせなさ!)

でもそんな涙だけでなくホッコリ涙も。アタリにチーフが「いいこだね」と撫でられ抱き締められる場面はこちらの胸もギュッとなるし、その後スポッツのためにとっておいたパピースナップ(なんと専用ポケットから取り出す芸の細かさ)をチーフが戸惑いながらもムシャムシャ食べて好物になるのを観てホッとします。

コーユー・ランキン君のたどたどしい声がまた良かったです。あんな声で「くろいぬー」なんて呼ばれたら、野良犬でも庇護欲が湧いてしまうのも無理はなさそう。あとナツメグの「12才の男の子なんて犬は皆大好きでしょ」の台詞が、『だよね』と共感出来て好きです。なんでウェス監督、犬じゃないのに犬の気持ちが分かるの?

パンフに本作で1番複雑な場面は寿司を調理するシークエンス、と書いてあってびっくり!あのシーンは「そんな海苔巻き無いし、タコ!」と劇場で笑いが起きてました。あのヘンテコ調理場面が恐ろしい暗殺へとつながる流れがお見事でした。
ロボット犬もただ怖いだけでなく可愛い愛玩モードがあるのが良かったです。aiboみたいで可愛い。

アタリと小林市長の手術場面で私は泣いていたのですが、周囲はクスクス。『何故?』と思ったら後で渡辺謙さんかー!と納得。

とにかく好きな場面が多すぎて、心を動かす場面を繋ぎあわせて出来た映画でした。感想が『あそこが良かった、ここもエモーショナルだった』とあらすじみたいになってしまってお恥ずかしい!

最後に。ケージの中で出られず死んでしまったスポーツが、天国でお腹一杯パピースナップを食べられますように。
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