犬たちが哀しく、可笑しく、愛おしい。
ウェス・アンダーソンなので寓意が重要ではないかもしれない。
が、どうしても、国粋主義、全体主義、区別のオブラートに包んだ差別心の政治利用、政治家の保身と隠蔽、などがよぎる。
「父と息子」ものの側面もあり、ミューズがいて、ポップな残虐性がインサートされるのもウェス・アンダーソンらしい。
ストップモーションアニメ独特の表情の乏しさ、仕草の不自然さ、サイズ感のいびつさが、戯画化されたディストピアをほどよく中和し、かつ皮肉という毒を増していたように思う。
ミスターフォックスの牧歌的な残酷さとはまた違う毒だった。
ウェス・アンダーソンにはまたアニメ作品を作ってほしい。