マヒロ

犬ヶ島のマヒロのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.5
ウェス・アンダーソンで一番好きなのは『ファンタスティックMr.FOX』なんだけど、その絶妙なおとぼけ感とか、矢継ぎ早に畳み掛けるような素早い展開、めちゃくちゃ淡白なバイオレンス描写とか、やっぱりこの人の作風にはこういうストップモーションアニメが一番あってる気がする。

日本を舞台にしているのがやっぱり一番印象的なところだけど、露骨な黒澤明オマージュからもわかるような日本文化リスペクトもありつつ、それ以外の部分では完全にウェス・アンダーソン印に染め上げられたトンデモ日本もどきな世界観で、そこら辺のドライさがまた良い。ここで下手にリアルな日本が描写されていたら逆に冷めていたかも。

日本人キャスト達の日本語が聞き取れるのは日本人である我々だけの特権だと思うんだけど、聞き取れてしまうが故にただでさえ多い情報量が更に増えてしまって、脳みそのメモリが追っつかなくなるような感じがあった。今作、なんとなく100%楽しめて無いなという感覚が常にあったんだけど、この情報過多な部分が原因なんじゃないかなと思った。せっかくのビジュアルや犬達のキャラクターも、こちらが理解する前に流れていってしまうようで勿体無かった。裏を返せば、一回では拾いきれないくらい作り込まれているということなんだろうけど。
やたらと丁寧に寿司を作るシーンみたいに、じっくりディテールを観られるところがもうちっとあれば嬉しかったかな。

(2018.47)[16]
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