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ヒトラー最後の代理人のsobayuのレビュー・感想・評価

ヒトラー最後の代理人(2016年製作の映画)
3.5
とにかく淡々と起伏を削ぎ、核心に触れず。あれでヘスの本音を引き出したとは思えないけど、じゃあ私が聞きたい本音とはなんだと問われると、あいつが何を自供したところでとにかく地獄に落ちろとしか思えない。それじゃ駄目だって話なんだと思う。

ホロコーストをどう描くかは作家の腕の見せどころと言ったら不謹慎過ぎますが、だからこの題材は面白いんだなと思った。地味で、会話劇ですらない、なのに息を飲んで見てしまう。

途中に挟まれる裸体、シャワーはアウシュビッツを連想させる。セックスも生命と死。ヘスは絶滅収容所の出来事と家庭を切り離そうと努力したと言う。でもそんな都合のいい切り替えなんて出来ないよな、映画を見てるだけの私だってこんな容易に連想させられるんだから。

EDのどうとでも取れるような物音がじわじわと恐ろしく、これだけ引き算で映画を成立させる力ってすごい。変にキャッチーな見せ場を作るのは不誠実だと思ったんじゃないかな。
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