タイトルが最高ですよね!
「バッカス・レディ」
考えた人のセンス!
バッカスってたぶんわからない人はわからないと思うんですけど、韓国ではものすごくポピュラーな栄養ドリンクです。
どこでも売ってる日本で言うところのリポビタンDみたいな。
味はリポDより苦いっつーか不味い。値段は八十円くらいだったような・・・とにかく安いです。
で、この「バッカスいかが?」と公園で寄ってくる熟熟熟女たち・・・それは「一発いかが?」という物語。
で、主人公は70歳の借家暮らし有名売春婦ユン・ヨジョン!
70歳ですよ!!
嘘っぽくなーい!
まずこのテーマ、日本では絶対映画にできないですよね?
(ドキュメンタリーの「ヨコハマメリー」があったけどアレはキワモノ)
で、驚くのが、需要あんだw
鍾路の公園でスタンばってるおばちゃんやおばあちゃん達もおっかしいんだけど、それを待ってるおじいちゃん達ですよねw
お元気でなによりw
そんなバッカス・レディことユン・ヨジョンを訪ねてくるのは噂を聞いた客、馴染みの客、ドキュメンタリー映画を作ろうとするやつ、そして病気持ちw
ある日訪れた病院で殺傷事件に巻き込まれた韓比ミックスの少年をお節介で連れて帰り面倒を見始める。
隣にはニートっぽい片足の若者、上の階にはニューハーフ、といわゆるマイノリティが1つの家に集っている、という設定がいいですよね。
描き方も不自然なく特異でもなく見せてくれるので演出がほんとスマート。
しかもこいつらがまたいい奴ばっかなんだ。
ある日、今はおしゃべり友達となった昔馴染み客からスーツを着た親切な客が今は寝たきりだ、とか下ネタ大好きだった友達が今は認知症で篭りっきり、など老人ならではの話を聞き、そんな人たちに会いに行くところからどんどん・・・私がノレなくなってゆく・・・。
あの、途中まですっごく面白かったんだけど、広敷広げすぎて全然回収できてやしませんか?
まず途中からガキ放ったらかしね、あのカメラの奴もっとなんかこう後半に撮った映像が、とか使い方あっただろ?
上手くないんです全然。
でもみんなでお出かけしたのが38度線の見渡せる鰻屋って、主演のユン・ヨジョンが実際に今の北朝鮮出身なことにも重なるし、あそこの鰻屋って「プンサンケ」か「レッド・ファミリー」かなんかその辺の映画でも出てきましたよね?
グッときたわ・・・。
私が決定的にノレない、と思ったのは高齢者の死の扱い方、なんですよね。
まぁ、主人公が70歳で売春しないと生きてけないってのがそもそもアレではあるんだけど、韓国の福祉事情ってあんなんなんですか?
日本ではまず考えられない。
そもそも最初のソンさん話せる時点で嚥下系が原因で死ぬわけないし、痴呆症と言ってもあのレベルで、とかその量の薬で、とかもうその辺の死の扱い方の軽さと嘘臭さ、主人公の関わり方がどうしても無理。
そこはわりとふわっとした感じのテンションで全体を軽くしたとか?
そこ軽くしちゃダメだろ?と思った。
終わり方もものすごーく残念な感じで。
えー途中まではめっちゃ面白かったし、もっと面白くなりそうなネタごろごろ転がってるのに・・・とめちゃくちゃ残念な感じでした。
フィルマークスの悪いとこなんだけど、監督の過去作に繋がってないですが、この監督の前作カン・ドンウォン主演の「世界で一番いとしい君へ」はありがちな話をめちゃくちゃ上手く作ってる作品なだし、日本ではwowowでしか見れなかった「女優たち」もそもそも女優がトークする様子を延々見せる、という企画力はある監督だと思うのでこれからも見ていきたいです。