ベルサイユ製麺

ダークレインのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ダークレイン(2015年製作の映画)
3.3
恐ろしい。こんな映画観なければよかった…。

この程度はネタバレにならないと思いますので書きますが、今作は“閉鎖環境”で“伝染”を恐れ逃げ惑う人々を描いた作品です。つまり概ね平均的なゾンビ映画と同じフォーマットとして捉えられると思うのですが、では彼らが恐れる“伝染”≒同化は何の隠喩なのか?
全ての発症者が同じような無残な姿に変貌してしまうという特徴はある意味共産主義的、そして変貌後の姿は(かなり強引に捉えれば)著名な革命家の肖像の様でもあり、しかし舞台となる密室のあちこちに貼られたポスターの見慣れた意匠はグローバリゼーションこそが日常に潜むフェイスレスな脅威であると訴える様でもあります。
そして何より個人的には機能不全のstation=事業所に“暗い水”によって閉じ込められる・隔離される(しかもご丁寧に通信機器が不通になる)状況は現在の日本の姿そのものではないかと思わされました。なにしろ、彼らを襲う変容は発症の条件も、誰が発症するかも予見出来ないのです!
登場人物達が恰も“見えない壁”でもあるかの様に不自由に右往左往させられるのも非常に示唆的です。

黒幕と思しき人物もまた操られている様で…。いったい誰の、どんな意思によってこの惨劇は齎されたのか⁈禁断の書“ダークレイン”は何処から来たのか?
本当に恐ろしい鑑賞体験でした…。


なんちゃって。
ロッテン・トマトのレビュアー達、何考えてるのでしょうか!(92%が高評価!)ノリが良すぎます!