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ペット 檻の中の乙女のemilyのレビュー・感想・評価

ペット 檻の中の乙女(2016年製作の映画)
3.2
動物保護センターで働くセスはある日バスで同じ高校だったホリーと再会する。しかし彼女は全く彼の事を覚えておらず、邪険にされてしまうが、なんとか取り入ろうとSNSで好きな物を調べあげ、ストーカーするようになる。しかし全く相手にしてもらえることはなく、職場の檻の中にホリーを監禁するが・・・

 セスの人となりを描き、ストーカー気質である事を感じさせる。ホリーは彼の事を覚えておらず、さらに別の場所で再会しても、この間会った男の事を覚えていない。彼女の視界にすら入っていないのだ。その事実が彼をストーカーへ誘い監禁の理由も浮き彫りにしつつ、真実は監禁後明らかになっていく。檻の中という不利な条件下のホリー対自由の身のセス。しかしそこに「男は女に恋している」という追加ポイントがあり、二人の心理戦はパワーバランスを見事に揺るがしながら、想像もしていなかった彼女側の陣地に徐々に徐々に足を踏み入れさせられるセス。

 女を救うつもりで計画を立てたが、結局それは何もなかった自分自身が見つけた生きがいにしか過ぎない。要はセス自身のために行った行為であり、それは女を追いつめる行為にしかならないのだ。それでも好きな人のそばにいる喜びをセスは感じていたのだろう。ホリーは持ち前の演技力で見事に男をそうして観客を翻弄し、わずかな隙間をすり抜け、自由を獲得する。しかしその自由は今までとは違うのかもしれない。セスが居る事の安心感、彼が居ることで行かされてる充実感、所有している優越感が彼女を救い、また彼自身も救っているのかもしれない。
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