みんと

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者のみんとのレビュー・感想・評価

3.8
詩的セリフの難解さに到底理解は追いつかないものの、不思議と感覚的でぼんやりとした理解でも心を揺さぶられる作品だった。

『イル・ポスティーノ』でも描かれた、チリの詩人パブロ・ネルーダが政治犯として追われる身となり、その逃亡劇を独創的で文学的な切り口で描いた伝記サスペンス。

軽めなジャケのイメージに反してとても政治的で高尚な作品だった。とは言え個人的には物書きが主人公の作品にやっぱりハズレ無し!と言った印象。

そしてネルーダを追う警察官ペルショノー(ガエル・ガルシア・ベルナル)の哀愁が素敵。彼が務める詩的なナレーションが声音と共に何とも心地好い。あまりに詩的過ぎて理解不能な部分を差し引いても十分うっとりする。

いつもすんでのところで取り逃がす捕物劇は、もはや追いつ追われつの関係をお互い楽しんでるかのよう。ネルーダに至っては、弾圧された生活が詩作エネルギーとなり代表作となる『大いなる歌』を生み出すことになると言う…

正直、ネルーダ役のルイス・ニェッコが個人的にもう一歩受け入れられなかったのがマイナス要素。『イル・ポスティーノ』では『ニュー・シネマ・パラダイス』のフィリップ・ノワレだったのに… と思うと残念!笑

舞台となった1948年 第二次世界大戦から3年後と言う時代背景と、ネルーダ自身の思想もしくは芸術(詩)の政治的影響力がどれほどのものだったのか知識は無くとも浸れる作品だった。


そしてそして、ガエルのラストカットに痺れる。
みんと

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