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私たちはどこに行くの?のmamのネタバレレビュー・内容・結末

私たちはどこに行くの?(2011年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

キリスト教徒とイスラム教徒が共生するレバノンの小さな村。
かつての宗教対立による内戦で、村の女性達の殆どが夫や息子を奪われている。左右で分けられただけの両宗教のお墓に揃って現れる黒衣の女性達。ムスリムやクリスチャンなどという隔たりなど無いかのように女性達の日常は井戸端会議やおしゃべりにと忙しい。
しかし血の気の多い男達を刺激する、街で起きた宗教間の事件を機に村の雰囲気が一気に傾き始める。男達の諍いが争いへと加速しないようにと、女性達は団結し何がなんでも村の平安を保とうとする。街からショーダンサーの金髪美女たちを呼び男達の気を紛らわせ、大麻入りのお菓子や飲み物でハイにさせてる間に危なっかしい銃も撤去。翌朝ムスリム⇄クリスチャンが入れ替わった尋常ではない女性達の態度を察し、ようやく収まりをみせる男達。

シリアスな問題ながらも時にコミカルに、歌あり踊りありで全てを吹き飛ばすパワフルさの逞しく美しい女性達に釘付け。協力的な金髪美女たちも素晴らしくて。

女性達にとって宗教間のいざこざなど取るに足らぬもの。
”銃と火による争いではなく、花と祈りで女たちは戦う” には泣ける...。

村外で息子を殺されてしまった母親が狂わんばかりに泣き叫んでいたのに、村の争いの火種になる事を恐れ必死に平静を装う姿が痛々しく、行き場のない怒りと苦しみをマリア像にぶつけるシーンが痛烈で心えぐられそうだった。

ラストの殺された息子の葬列で、棺を持った人が引き返してきたの、何故だろう...。

75〜90年代まで内戦が続いていたというレバノン。エンドロールの”母親たちへ捧ぐ”にグッときた。

(イスラーム映画祭8)

2023-145
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