題材からしたら、もっとドラマチックに、もっとお涙頂戴でいけたと思うが、それをやらないところにこの作品に対する作り手の誠実さを感じた。
全てを神の思し召しとして受け入れなくてはならない。その考え方を理解することはできないがそれでも声を大にして言いたい。受難も神の思し召しなら生まれた子どもも思し召しとして受け入れないといけないんじゃないの?え?院長さんよ。
神と自我の狭間で悩みながらも、自分の道を見出し凜と前を向いた彼女たちの顔が美しかったのが救い。
個人的にはマチルドの同僚医師が良かった。彼のポーランドに対する複雑な気持ち、マチルドへの愛情、なんだか愛おしくなる存在だった。
赤十字解散が決まり、涙を流すマチルド。
「もしかして僕と離れるから泣いてるの?」
「それは違う」
「…違うんだ」
こういう人は応援したくなる。