監督前作の「ボヴァリー夫人とパン屋」では、おじさんが
他人のエロい奥さんにストーカーのように近づき、心配するコメディだが、今回は打って変わって笑いが無い修道院での婚前交渉に関するお話。
ジュディ・デンチ主演の「あなたを抱きしめるまで」という
類似した作品と本作を比べると、ラストに関しては本作の方が
スッキリして優れていると思います。
主人公のモデルになったのはパリでレジスタンス運動にも参加したマドレーヌ・ポーリアック。劇中では戦後にフランスの赤十字の医師としてポーランドでフランス人の治療に参加していた。
その中で、同僚にも修道院の院長にも内密にシスター達の出産に立ち会わなければならない、また七人の女性がいつ出産するかわからない等、サスペンス要素があります。
第二次世界大戦後直後の混沌とした中でソ連兵に強姦されて身籠ってしまったが、出産後に「襲われたけれど、命を守ってくれたあの人のもとへ行きたい」という言葉が本当にとても力強い。そしてラスト、女性なりの知力で乗り切る素晴らしい作品です。
そしてクロージングにマックス・リヒターの
「On the Nature of Daylight」が流れるなか、
本作で初めて光が訪れる。
おススメです。