えちぜん

夜明けの祈りのえちぜんのレビュー・感想・評価

夜明けの祈り(2016年製作の映画)
4.3
史実にて地味で淡々としているが素晴らしいストーリー。

マチルド女医の人道的な偉業のお話と思いきや、実はもう1つの主題はシスターたちだとわかる。戦争では多くの命が奪われるが、それに抗って命を救うために奔走するマチルド。そして反対に、無下に命を捨てていこうとするシスターたちの姿…。強烈な皮肉だが、マチルドの通訳を務めるシスター・マリアが、修道院の特異な世界で生きつつも少し世俗的で、ある意味最も苦悩する人物でありながら、観客寄りのキャラとして複雑な価値観の渡し役となっている。

宗教と価値観とは?と考えると難解だが、ラストは赤ちゃんを抱くシスターたちの様子が、まるでルネサンスの絵画のようにキラキラと輝いていて安堵する。皆、自分のために生きることが肯定される時代になってきたけど、シスターたちの姿は、やはり次の世代を育てていくことこそ人生にて価値があること、何より当人の生きがいとなっていることを描いている。昔から人間が当たり前に続けてきたことですもんね( ͡° ͜ʖ ͡°)
えちぜん

えちぜん