エーコ

許された子どもたちのエーコのネタバレレビュー・内容・結末

許された子どもたち(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

殺人シーンの、どっちに転ぶかわからない緊迫感と、もはや人間の意思が介在しているとは思えないほどにあっけない殺人には息を呑んだ。

また、警察の取り調べ場面の顔面勝負も緊張感がある(警察の人の顔にできたシミがいい)。

全体的にくすんだ色調や、激しい音楽、すっと挿入される遠景が叙情的でグッとくる。また序盤の疾走シーンなどに顕著な、不愉快な場面をミュージック・ビデオ的に処理する趣向は映画としてギリギリの線だけど、テンションが上がる。

しかし、SNSのトークルームを画面に被せるような処理や、ニコニコ動画的なタイポグラフィ、タイムラプスなどは、後半に行くにつれ反復が目立って、映画を破壊しているように思えた。『ミスミソウ』よりはずっといいと思うけど、後半ちょっとダレる。

服を着たまま川に入り込んで、物を取りにいかせることで執着を示すのは「救済」と同じ演出。

終わらせ方に特徴のある人だけど、終盤、笑う赤ちゃんに手を振るカットで再生を暗示するのはなかなか意外性がある。

あと、いくら画面越しでもボーガンの射線がこちら(カメラ)を向いていると嫌でも緊張してしまうという、人間の本能を利用しているカットが多くて疲れた。
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