陰謀論者X

カーゴの陰謀論者Xのネタバレレビュー・内容・結末

カーゴ(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ゾンビ・ロードムービーとでも言えば良いでしょうか。ゾンビ化した妻に噛まれて自身も48時間で人間ではなくなってしまうなか、愛する娘のために奮闘するお父さんの映画なのですが……ショートムービー版「カーゴ」が大変良かったので正直やや肩透かしを食らった感があります。ゾンビ映画の要素であるエゴイスティックな人間との争いやアボリジニー少女との出会いを経る中でマーティン・フリーマン演じるお父さんがゾンビ化していく過程が描かれます。痙攣を起こし血を吐いて倒れたり、壁に顔をなすりつけたり、地面に穴を掘って頭を埋めるといったこの映画独特の「ゾンビ化症状」が重篤になっていく様が描かれますが、そんな酷い症状を見せても目覚めたらまたサッパリとした感じで人間に戻っているのは「?????」となったし、見ていて中だるみを感じましたね。ラストはショートムービー版でも一番の見せどころであった「馬の目の前にニンジンをぶら下げて走らせる」ように「食べ残しの肉を目の前にブラ下げて歩を進める」という姿で安全地帯まで辿り着くのですが、この場面の描き方に関しては自身の死が近い事を認識しているお父さんが背負っている娘に手を出さないように両手を拘束し、アボリジニー少女のナビなしに彷徨い歩いていたショートムービー版の絵面の方が断然悲哀を感じさせて良いと思いましたが、死んだ奥さんの香水を嗅いで一瞬記憶が戻るような仕草を見せる演出や、お父さんの遺体と子供をあやすオモチャがアボリジニー式に樹上に祀られている最後のカットは泣けましたね。
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