円柱野郎

探偵はBARにいる3の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

探偵はBARにいる3(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


東直己の“ススキノ探偵シリーズ”から、「探偵はひとりぼっち」を原作にした探偵映画のシリーズ3作目。

ハードボイルド+人情+時々喜劇の昭和っぽい探偵物語が4年ぶりに帰ってきた。
監督が前作までの橋本一から吉田照幸に交代しているけど、「サラリーマンNEO」の演出をやっていたこともあるのだろうか、これまで以上にシリアスとその間にちょっとずつ差し挟む可笑しさのバランスがとても良かった様に思う。
主人公の探偵と相棒・高田の組み合わせも、相変わらず凸凹だけどいいコンビだし、掛け合いが面白いね。
「なんでお前は無傷なんだよ」と聞かれて「キャラじゃない?」と飄々と返す高田は良いなあ。
松田龍平が演じる高田の絶妙なローギア感と、それでいてちゃんと探偵を助けに行くとことかはお約束だけど熱い。

本作のヒロイン役は北川景子。
悪党の愛人・嘘つき・訳アリといういろんな面を見せる人物をなかなか魅力的に演じていたので好印象。
銃を片手に声を張り上げるシーンなども、腹から出ている声がいい感じ。
探偵に向かって「見つけたんだ」と見せる笑顔に垣間見せる感情と相まって、本作の背骨を支えるキャラを成立させてた気がします。

とはいえやっぱりこのシリーズは探偵・大泉洋あっての作品。
彼が拷問に遭い、エンジンのかからない車に慌て、決めるところで決めるお約束の流れにニヤニヤする。
そう、ストーリーだって決して奇をてらった推理モノではないし、どちらかと言うと人情ドラマとしてベタのベタを行く話なのだけど、彼のシリアスと笑いの絶妙な表裏一体感が観ていて楽しい。

本作の真相はなかなかしんみりするものだった。
それを探偵のモノローグでまとめ、そして長年の相棒との別れでエンディング。
相棒がススキノを出ていくつもりだという事を知っていた探偵は、本人にはあえて詳しいことを聞かずそっと餞別を差し出す。
別れた後に振り返り、相棒の後姿を見る探偵。
そしてエンドロール。
渋かったなあ。

…でもここで終わらないのがこのシリーズ。
映画はエンドクレジットが終わるまで一つの作品なのです。
オチはこの作品らしくって実に良い、いいコンビだよホントw

そんな彼らの姿を見て、このシリーズはまだまだこの先も続けていってほしいと思った次第。
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