しゅう

探偵はBARにいる3のしゅうのレビュー・感想・評価

探偵はBARにいる3(2017年製作の映画)
3.8
監督がTV畑の人に交代したという事で、「1」の時から好きだったこのシリーズ特有の東映不良映画イズム(過剰なバイオレンス、くだらないエロ等)が無くなって普通のTV映画になってしまうんじゃないかと心配していた今作。

実際観てみると、確かにギョッとするようなバイオレンス描写は無くなっていたが、それ以外はシリーズ独特の味わいをしっかり継承していて嬉しくなった(最後のキャストクレジットの出方などはまさに80年代東映映画的で思わず唸ってしまった)。

大泉洋・松田龍平コンビはもちろん、脇を固めるおじさん・おばさん達がいい煤け具合で味が出ているのに引き換え、今回のヒロイン北川景子が(前作尾野真知子と比べても)明らかに力量不足など不満点があるにはあるが、それでも大いに愉しめたこの映画。

何より「21世紀に日本でハードボイルド映画を作るなら」というお題に対して自分的にはベストなバランスで回答してくれたこのシリーズ。

基本二枚目気取りの三枚目だが、ここぞという時には熱いところを見せてくれる探偵。無口で飄々としているが腕は立つ相棒。俗に塗れているがそれだけに親しみの持てるススキノの住人達。話のスケールを無闇に大きくせず(北海道外には出ない)、探偵も事件を鮮やかに解決する事などなく、ただ事件とそれに関わる人々に寄り添う事しか出来ないやるせなさ。

一応今作でシリーズ完結との事だが、あまりにもったいなので自分が感じた様々な美点を活かして次回作以降も作り続けて欲しい。
しゅう

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