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三度目の殺人のlalalalabombaのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

河川敷で工場を経営する男が殺される、犯人はその工場をクビになったばかりの男。

金目当ての強盗殺人を認める。

その後強盗目的でない可能性が高まる。弁護側は強殺ではなく別の動機を探す。そんな中犯人は週刊誌のインタビューで殺された社長の妻と通じていて妻の指示で殺したと言う。妻は否定する。

犯人は30年前にも殺人事件を起こしておりその時は情状を酌量され死刑を免れる。しかし、犯人の娘は彼を憎む。死んで欲しいと。

犯人は殺した社長の娘とも面識があったことがわかる。
娘は父親から性的虐待を受けており、娘の気持ちを忖度して殺したのではないか?
娘はそのことを裁判で話すことも承諾する。

そんな中、犯人は突然犯行を否認に転ずる。

弁護人は依頼人の言う通りに否認の線で裁判を進める。

結果判決は死刑。


映画の中では真実は判明しない。



自分のしてることと向き合う。
見て見ぬふりをしないと生きていけない。

寂しいだけじゃ死なないでしょ兎じゃないんだから。

「汚いお金でここまで大きくなったんじゃない。」「わかってるよ」

映画は淡々と描いていてよく抑揚やテンポがないような印象を受けるが、今時の映画にはないその部分がよりテーマにフォーカスさせてくれる。
エンディングに感傷的なJポップも流れないし、イケメン俳優も可愛いアイドルもそんな素振りも見せず、映画としての純粋さを感じる。


世の中には片目を瞑ってやり過ごすこともある。
裁判という人の人生や生命さえも左右することさえも裁判官や検察や弁護人の思惑や方針で嘘をつくのではなく真実にカバーをかけて見えなくすることもある。

裁判という真実と真正面から向き合うべき場所でも日々の暮らしの中でも見ないふりをするという人間のカルマのようなものを良いか悪いかは別として在るモノとして厳然と突きつける。

観るものはそのままを観ることしかできない。

そこに思惑や方針は存在できない。


役所広司の不器用な純粋さ、福山雅治の策士を装おっだ純粋さ、広瀬すずの父親だけでなく母親にも裁判にも社会に汚されていく純粋さ…。

三度目の殺人で生まれた時の純粋さを取り戻そうとするのは「セブン」通じるものもあるのか。

拘置所の窓から鳥を呼び寄せようとするのは「終身刑」のバート・ランカスターを思い出した。


本来人間は純粋無垢に生まれてくる。
ピカピカだった珠もしだいに汚れ煤けてくる。

大人の時期を迎えた現代社会は今何歳くらいに汚れているのだろう。
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