やまてる

三度目の殺人のやまてるのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0
モヤっとした気持ちだった。
真実は何だったんだ?
映画の流れを思い起こす。
これは、観た人へ判断を任せるということなのか?

殺人の前科がある被告が起訴された。
公訴事実は、解雇された食品工場の社長の殺人容疑。
死刑を無期懲役に減刑するのが目的で依頼を受けた弁護士。
弁護に真実は必要ない。勝てば良い。
そんな弁護士が、真実を知りたいと迫った。

観ているうちに、違和感を覚える。
タイトルにある三度目はどういうことか?
被疑者の殺人前科は1度だった。

弁護士が接見(面会)するたびに、小さな点で、証言が変わる。
違和感を覚える弁護人。
被告人の環境を、確認してゆく。

被告人は、弁護士と同様に、北海道出身だった。
被告人も、弁護士も、家族関係は、うまくいっていなかった。
娘とわかりあえていなかった。

被告人は、1度目の殺人でも、動機が不明確だった。
被告人の部屋は、死刑を受け入れることを前提したように、整理整頓されていた。飼っていたカナリア5羽は、埋葬されていた。
その部屋で見たピーナッツクリーム。

30年前に逮捕した警察官は、「空っぽの器のような男」と語った。
そんな被告人は、相手の気持ちがわかる特殊能力があった。
被告人本人は、何も願望は無い。
相手の願望を叶えたいという、器の役割。

週刊誌の記者に、保険金目当ての殺人と告白。
これは、週刊誌の記者の願望を叶えたいという、嘘だったのではないだろうか?

被害者の娘は、被害者から性的暴行を受けていた、と告白。
被告人は、被害者の娘の心情を受け入れる器となっていたようだった。
殺したいという、被害者の娘の願望を叶えたいと思ったのではないだろうか?

法廷は真実を明らかにする場所ではない。
裁判の前に、争点及び証拠の整理を行う、事前確認会議が行われていた。
大人の事情。

あらためて、映画の冒頭の場面を、振り返る。
被告人が、被害者を殺害している場面。
被告人が、殺人を犯したのは、事実だ。

しかし、真実、真相は、わからない。
関係した人の数だけ、真実はある。
やまてる

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