ロム

三度目の殺人のロムのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.9
★1回目:7月31日 完成披露試写会にて。
(於・TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

正直、一度観ただけでは咀嚼しきれないほどの重量のある作品だった。
是枝作品は実はあんまり得意じゃなかったけど、これはなかなかの見応え。

主人公の弁護士の、戸惑いと疑念、葛藤、やがて恐怖心から絶望までが観て取れたのにはちょっと圧倒された。
福山雅治、吉田鋼太郎、満島真之介扮する三者三様の「弁護士としてあるべき姿」も、それぞれに理解出来て、この三者は必要だったと納得。

ファンだからということとは別に、これはもう一度観なければならないと思った。

で、ここからはファン目線。
贔屓目が入っているのは分かっているけど、ましゃ、演技すっごく上手くなってたよ。
それと、舞台挨拶の時のマイクを通した生声、もう何年も何度も聴いてるけど、やっぱり萌えました💕

★2回目:9月9日 大阪舞台挨拶にて。
(於・TOHOシネマズ梅田)

最後に重盛が思わず呟いた「あなたは“器”...?」の言葉、二度目にして深く共感。
そうなんだ、この人は「器」。自分自身に意思はなく、超自然的(?)に誰かの意を汲んで、必要以上に応えてしまい、そして再び空っぽに戻る。そんな人間。周りを不幸にする、生まれて来てはいけなかった人間だと思っているから、結果そうならざるを得なかったのか。

裁判長と検察官、弁護士が裁判について話し合うシーン。前回観たときにも思い出していたのだが、学生時代に傍聴した、アジア系外国人による窃盗事件の公判でのこと。小さな小さな事件で、きっと2回くらいしか開かれないからだろうが、会議室ではなく法廷で三者(+通訳者)の打ち合わせが行われていた。そこにはまるで、同じ会社の同僚同士が休暇の調整をしているかのような気安さがあった。そう、彼らにとっては、裁判はまさに「仕事」。それ以上でもそれ以下でもないのだろうなと思いつつ、言葉が分からない被告はさぞ心細かっただろうと、少し同情した記憶がある。

そんな思い出も蘇って来たせいか、ましゃも挨拶で話していた、”三度目の殺人”について、帰りの電車の中ですっと頭に落ちて来た。
そしてこの“殺人”は、重盛のような存在を通して、私たちの手によって、日々繰り返されていると言っていいだろう。
違うかな? ましゃと答え合わせしなくては。😁
ロム

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