MARUKO

三度目の殺人のMARUKOのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

どの言葉を信じたらいいのか分からなくなる。どの涙を信じたらいいのか分からなくなる。嘘なのか、嘘だとしたらなぜ。シンプルな映画だけど一度感じとると深みにはまる。

こいつは殺人をした。
ということを“刷り込まれて”物語がはじまる。そして真相が分からずに終わる。(⬅素晴らしい)
供述がコロコロ変わる。結末を知ってから遡ってみても、そもそも本当のことを言うつもりがないのか、警察検察の圧力からなのか、それともサイコパスで頭がおかしいのか。少女の供述と相まってさらに深みにはまる。弁護士の立場から見たらこうなるのか。「ここでは誰も本当のことを話さない」それが物語っている。

涙を流すのはある感情からくる。そう思っていたが、娘の見せた偽物の涙。
涙が作れるなら、少女が勇気をもって話してくれた後の涙は?あいつが殺してないと話したときの涙は?何を信じたらいいのか。
自分には前情報にあった“弁護士の興味”というより、わからないから頼むから教えてくれとしがみつくように見えた。

最終的にはあいつは器。
重盛がよそうものであいつの見方が変わるだけ、中身のない言葉を並べているだけと思うようになるが、結局それさえも濁される。
観ているこっちも正直もう分からない笑。
でもそれにより、こんな分かんないことだらけの中で裁いているのかと、司法の信憑性の足りなさやふさわしくない形式化をおぼえた。

福山が役を演じると毎回受ける違和感。でもしばらくするとそれに引き込まれていく感じ。いい俳優さんだとつくづく思う。是枝監督作品は始めてだったが、すごく丁寧で細かい描写もすてきだった。

仕切り板の反射と反射が重なる。あいつの心に触れそうになる。我にかえり、離れていく。信じるということ。久々にかなり良作の邦画を見れて大満足だった。あの弁護士はあの事件以来かなり成長したことでしょう。

追記:観賞後夜自転車乗ってたら、そう言えばタイトルのこと気にしてなかったと思った。なぜ三度目か。たしか前の事件で二人やってた気がする(曖昧…)からスルーしてたが、いろいろ読んでみて“死刑確定で自分を殺す”ってのが納得。
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