メランクさん

三度目の殺人のメランクさんのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0
序盤から中盤にかけて、是枝監督作品史上一番つまらなかった。あまりにも類型的な登場人物たちと説明的なセリフ。とりわけ重盛という弁護士が真実より勝つことだみたいなあまりにも弁護士っぽいことばかり言うので本当にどうしようかと思った。

ただこの作品が結局嫌いじゃないってなってしまうのは、セリフで説明されるような制度的な不条理を描き、真実は何かという表面的な問いを投げかけるだけでなく、
言語化できない人間性と、それに対する共鳴というものの存在を信じさせてくれるからなのだと思う。

生きることが不条理であるというのは前提だ。
でもそこを生き残るために必要なものは人間性と、それに共鳴すること。

その中心となって真実と隠蔽の狭間で語り続ける役所広司の演技は異常。
役所広司こそが結局、器なのだね。