あなごちゃん

三度目の殺人のあなごちゃんのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.1
母と観に行った。
母曰く「スッキリはしてなくって、でもモヤモヤもしてなくって、まぁこんなもんかなって感じだったね。」

どんでん返しやトリッキーな結末に驚かされるわけではないけど、要所要所の法廷批判が効いてる大人向けサスペンス。

最後のシーンは、監督の意図に静かに唸ってしまうような、「腑に落ちた感動」があった。

内容はネタバレ防止のため以上。
これからは広瀬すずについて。以下長文です。

広瀬すずが良かった。ナチュラルメイクというよりもうほぼすっぴん状態でも綺麗で、思わず暗闇で自分の顔が見られないことに感謝した。少女独特の輝かしくも痛々しい美しさを彼女は「まだ」持っている。22になる私はもうすでにどこかで「少女」を捨ててしまったんだなぁと自分が少女ではないことを彼女から知った。一体いつどこで私は女になったのだろう、いつのかの流血で流してしまったのか?と失った若さを惜しんだ。

マリア的な聖母のような美しさだった広瀬に対する、斉藤由貴は最近のゴシップ効果もあってセックスを常に思わせるような悪女的な美しさを持っていて、広瀬すずと斉藤由貴の対比的な美しさがスクリーンに同居していたのが至福だった。
福山雅治の「アイディンティティーが変化する男」という役割もいい。「そして父になる」以降の起用だが、上手く福山雅治を変化させている。今回もエゴイストand実益主義の福山雅治が徐々に役所広司の影響を受け役所広司に憑依されていく過程が良かった。広瀬すずと役所広司と福山雅治がトライアングル状態にシンクロするシーンも、抽象的なショットだとは思うが、幻想的でカーニバル性があった。