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三度目の殺人のTOSHiYaのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

結局真実は、法律の文言だけではなく人と人との触れ合い、営みの中で”自ら進んで”求めていかなければ掴めないということ。伏線はいくつかある。例えば福山演じる弁護士重盛が役所演じる三隅と面会室で手を合わせるシーン。あの場では、三隅のサイコな側面かと思っていたが、『じっくりと手の温もりが伝わる』というのは人との人との心の交わりに通じる。 被害者の娘である咲江(広瀬すず)も儚くも三隅と身体を交えた際、彼の奥にある真実を感じたのであろう。

…しかし、物語は都合良くは進まない。間違いに気付きながら、結果的に長いものに巻かれた検察の女性(市川)、重盛の部下の川島(満島)をはじめ、咲江の思いまでも虚しく紙一重のところでコトの真実から逸れてしまう。

今思うと「食品偽装」や重盛の娘の「嘘泣き」だってそうである。万引きを捉えたスーパーの店員も弁護士である重盛の「名刺」をみて彼を"品定め"したであろう。

三隅『私は器でした…。』

死刑が確定したその後の面談。面会室では重盛と三隅の影が重なり、重盛が三隅の真実に辿り着くことになるが…。三隅は敢えて応えないことで、重盛を真実から突き放した。それは三隅がこれまでに受けてきた『理不尽』に対する彼なりの反発だったのかも知れない。
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