烏賊飯

三度目の殺人の烏賊飯のレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.3
司法に少しでも興味があるならオススメできる。あくまでも淡々としているがたくさん考察したくなるボリューム。

1人の刑事事件の弁護人視線で進むがとても合理的。いわゆる裁判ドラマなのだが法廷がずっと舞台ではなくそこでの裁判までの過程がとてもしっかり描かれていることがすごい。同じ殺人でも動機で刑が違ってくるなどある意味正論であり、違和感があるところをきれいに描いてる。

印象的なのは手の描写。物理的に手にしたり手放したり、目に見えないものを手に入れようとしたり、自分の手の内にあるかと思いきやもう戻ってこなかったり。そして結果手に入れるものは二度と拭えないものだったり。この辺りの考察は延々とできそう。

是枝さんらしくない内容かと思いきや、軸はやっぱり人間の心にあるところはさすが。終わった後にタイトル見返すだけで色々考えさせてくれる。司法に全く興味ない人だと動きが小さい上にスッキリしなくて微妙かもしれないけど、少しでもかじっていればリアリティがジワリとくる。フジとアミューズでこんな作品作れるんだといい意味で裏切られた。
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