これぞ現代の邦画。是枝監督から現代に対する怒りを感じた。私が怒っているからかな?現代への問いなのかな。
けれど諦めではないと思いたい。諦めまいとこの作品を創ってくれたと信じたい。
真実が欲しいと思う人と思わない人で、この映画のみえ方が変わってきそう。私はどうしても欲しかった。何も見逃せなかった。けれど、本当に見たいものは見られなかった。
ラストに近づくにつれ、真実に近づけているような気になってしまう。そして私が求めている真実は普通に美しい。
"普通って何ですか?"
ラストで想像の全てを手放すような感覚に。そしてそれらは電線に絡まって消える。
命の選別の話を三隅がするときに、鳥肌が立った。彼は本当に"器"なのかもしれない。見えすぎてしまう、わかりすぎてしまう、受け入れすぎてしまう。まるで器のように。
三隅のような人間は、今もどこかに潜んでいる。冷えた空気だけを吸い込んで。