【犯人は捕まった。真実は逃げ続けた。】
目に映らない真実を証拠として据え置いて、人が人を裁く、なんて限界がある。けど、世の中の善悪の軸にあるのは法だ。無理でしょう、無茶なことしているでしょう。証言が二転三転する三隅よりも、不確かな権力に絶対を見ている私たちの方が狂っていたのかもしれない。
終盤にかけての、静かなのに、凄まじいクレッシェンドの、演技、演出、圧巻だった。
(物語の最後についての、是枝監督のコメント )
「僕は、曖昧さの中にむしろ本当があると思っている部分があります。そんなに全部、何から何まで答えが出るわけじゃないから、本来は。
答えが出ない曖昧さからどうしたって逃れられない人間が、ある種の絶対的な裁きを下さなければいけないから、司法というシステムがあるんです。
そして、私たちは社会の中に生きている責任として、そのシステムを受け入れているということに気付くべきだし、自覚的になるべきだと思っています。」