Woody

三度目の殺人のWoodyのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.5

何ヵ月も前に観た映画ですが、やっとレビューを書きます。書きます、というよりは、やっと書けるようになりました。それくらい、心の中であたためていた映画。

被告人とその弁護人という関係でありながら、決して肩を抱き合うことはなく、ずっと透明な板を挟んで向かい合ってきた2人が、最後の面会の場面で同じ方向を向いている(ように見える)ショットにグッと来た。

そしてなんといってもラストシーン。劇中の雪原のシーンで、役所広司と広瀬すずが十字に寝転ぶ(=十字架を背負っている)中、ひとりだけ大の字で寝転んでいた福山雅治が、最後は十字路の真ん中でたたずんでいる。彼もまたきっと、最後の最後、十字架を背負った、ということなのでしょう。

過去の「一度目の殺人」、劇中で争われる「二度目の殺人」、そして最後の最後に提示される「三度目の殺人」。「三度目の殺人」=「死刑」の被告人を裁くのは誰なのか?という、タイトルからすれば直接的な、でも誰も大きな声で語ることのできない重い重いテーマ。

伝えたいことを、安っぽい台詞や分かりやすいナレーションで表現するのではなく、あくまで「画(え)」と脚本の巧みさで提示した作品。そう、そうだよ、映画の素晴らしさって、こういうところだよね~~と何度も感動しました。是枝監督に感服するとともに、感謝の気持ちでいっぱい。
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